遠藤美波、江戸川夏樹
警視庁や鉄道各社が今月1日から、「痴漢撲滅キャンペーン」を展開している。企業や学校で出社勤務や対面授業が増え、SNS上で通勤・通学電車の痴漢被害を訴える書き込みが相次ぐなか、防犯アプリの活用を呼びかけている。
東京都内を走行中の電車内で4月中旬、痴漢の被害にあっていた10代の少女は、スマートフォンの画面に「痴漢です 助けてください」と表示させて周囲にかざした。
近くの男性が反応したのを見て、さらに「やめてください」と音声を流した。
すると別の男性も異変に気づき、少女の体を触っていた男に「何をやっているんだ」と声をかけた。
男は少女や男性らと一緒に近くの駅で下車。少女の110番通報で駆けつけた警察官に引き渡された。
警視庁によると、少女が使ったのは警視庁のスマホ用防犯アプリ「デジポリス」だ。痴漢にあったことを知らせる文字を表示させたり、音声を流したりすることができる。
2016年の配信以降、今年3月末までに約47万件がダウンロードされており、痴漢撲滅キャンペーンで積極的な活用をアピールしている。
一方で、ツイッター上では最近、痴漢の被害を訴える書き込みが目立つ。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限が緩和され、通勤や通学が増えていることが理由の一つとみられ、「在宅勤務明けに、さっそく痴漢にあった」といった声があがる。
一般社団法人「痴漢抑止活動センター」は被害者の声をもとに、「痴漢は犯罪」などと書かれた「痴漢抑止バッジ」をつくり、配布している。松永弥生代表(56)は「『あたっています』『痛い』など、自分の言いやすい言葉で、周りに被害を伝えてほしい。それが、自分の身を守り、未来の被害者を減らす一歩です」と呼びかける。
痴漢抑止バッジはホームページ(http://scb.jpn.org/contest/badge/)で無料で配布されている。(遠藤美波、江戸川夏樹)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル